SCE「労力をかけたローカライズはやらなくてもいい」

これは衝撃的な内容です。

「ラチェット&クランク」も、PS2の頃は国内で相当数の実績がありましたが、PS3やPSPに移行してからは、その売り上げも何分の一かに落ちていて……これは私の推測なんですが、「ローカライズにお金をかけてドカンと売るよりも、コストを絞って効率的に利益を出そう」と、そういう経営判断があったと思うんです。それで「マル秘ミッション」が終わった時、「次回は今までの労力をかけたローカライズはやらなくてもいいから、何分の一かの金額で安くやってもらえないか」というようなことを言われまして。色々な作業形態を模索したんですが、最低限のシリーズ監修に必要な作業も「高い」と言われちゃったんで(笑)、結局折り合わず、次はやらないということになったわけです。まあそれが直接の理由ですね。

http://www.igda.jp/modules/pico/index.php?content_id=1






管理人コメント

鶴見六百氏は「クラッシュ・バンディクー」や「ラチェット&クランク」シリーズなどの日本側プロデューサーとして本当に丁寧なローカライズを行なっていた方です。
記事自体は5年前ですが、今読んでも実に興味深い内容です。

この頃のSCEはすでにソフト軽視路線&赤字ロード状態(2009年3月期の時点で104億円の債務超過になりました)ですからね。
この判断はいかにもSCEらしいとしか表現しようがありません。

もともとローカライズって、アメリカ版を日本語版に直したり、あるいはその逆であったりと……いったん完成した「オリジナル版」から他言語版を作ることがミッションでした。そのうえで予算やスケジュールが決まっていたわけじゃないですか。ある意味、ローカライズ作業には時間的な余裕があった。

ところが最近では、全世界同時発売がプライマリミッションになってきた。それを怠ると、発売前に海外版が入ってきたり、あるいは海外でのニュースが入ってきたりと、タイトルの新規性もマーケティングプランも台無しです。しかも以前は、言語も「日英仏独伊西」など6言語くらいで良かったのが、今ではモノによっては20-30言語も求められるようになりましたよね。つまり今や、多くの言語版をほぼ同時に完成させなければならないわけです。

そのためには、オリジナル版の開発と並行してローカライズしなくちゃいけない。つまり、ローカリゼーションにおける作業パイプラインを、開発チームに組み込む必要があるわけです。もちろん、それって大変な話なんですよ。アセット(テキストやサウンドなど)のデータベースをきちんと作って、作成/修正/更新を管理して、各地域の担当者にオリジナル言語版のデータを供給して、戻ってきた各言語データを間違いなくデータベース化して……。コンパイルの際に付けるオプションを変えるだけで、各地域向けのビルドが瞬時にできる、ぐらいまでやらなきゃならないわけです。マネジメント面でもテクニカル面でも、大規模かつ困難なミッションだけれど、それをやって「全世界向け」のタイトルにしなければ、大型プロジェクトは立てられないのが、まあ昨今の状況です。

それに加えて、単に言語の翻訳に留まらない、さまざまな地理文化的な問題が発生しますよね。たとえば日本だと四本指のキャラクターは文化的にまずい、とか。同じような問題が、アメリカにもありますし、ドイツにも多いし……まあどこの国にもあります。暴力表現、性表現、宗教表現、その他モロモロ……その膨大なネガティブ要因を潰すだけでも、大変な手間になる。ひょっとしたら、テキストやサウンドの修正だけでは対応しきれないかもしれない。なので、各地域のプロデューサーは、そうした地理文化的な情報を、いち早く開発チームに伝えていかなければならない。

ここからが本題なんですが、「ローカライズとは、ネガティブ要素は減らすだけで良いのか?」──それこそが、「クラッシュ・バンディクー」以降、私がSCEで取り組んできたことです。よりきめ細かな現地化のために、各地域に向けたポジティブ要素というか、何らかのクリエイティヴを加えていくべきではないか、と。

「翻訳(translate)」の先のレベルが「現地語化(localize)」だとすれば、「現地文化への適合(culturize)」は、そのまた先のレベル。たとえば「クラッシュ・バンディクー」のシリーズは、カルチャライズの成功例に挙げてもよいと思いますが、あの当時クラッシュを遊んでいたファンの大半は、あのソフトがまさか海外の、ロスアンゼルスで作られているとは思ってもいなかったわけです。内幕を知らないライトユーザーのほとんどが、日本国内製だと思っていた。

先ほど、ローカライズにおける作業パイプラインやデータベースなどの「システム」についてちょっと触れましたが、「クラッシュ・バンディクー」を作ったノーティドッグも、「ラチェット&クランク」を作ったインソムニアックも、非常に早い段階から、こういったシステムを構築していた会社です。でも、彼らの全世界での成功要因は、そのシステム自体にあったというよりも、「そのシステムに入りきらない各地の要望を組み入れていったこと」これが大きかったと思います。そして、そのために日本からの要望を「具体的に組み入れられる形でのアイディア」として提供することこそが、私がこれまでやってきた、そして私が大好きな仕事なんです!



ローカライズではなくカルチャライズですか。
確かに鶴見氏が手掛けていた頃のクラッシュやラチェクラは海外作品というのを意識させませんでした。
だからこそライトユーザーがこぞって購入して国内で海外作品がミリオン近くの売り上げを達成したという今では信じられない快挙を達成したのですが。

「全世界同時発売」を目指せば目指すほど、システムから外れた要素は入れにくくなってしまいますよね。殊に、今や世界市場の中で、日本市場の存在感は相対的に小さくなっている。そんな島国の小さな市場のために、手間のかかるプラスのクリエイティビティを入れていくなんて有り得んだろう、と。それが昨今の状況。



日本市場が縮小傾向(特にPSハードは顕著です)にある以上、日本側の要望は入れられなくなっている&予算をかけられなくなっている。その結果あれだけ人気のあったクラッシュやラチェクラも衰退して今ではほとんど存在感を失ってしまいました。

なんというか・・・実に考えさせられる記事です。
もう現在の国内ゲーム(特に据え置き)は海外作品の移植なしではやっていけないほど、国内メーカーのソフトリリースペースと質が落ちています。
PS2時代までは国内メーカーのソフトが潤沢でしたので気にする必要はなかったのですけど、もはやPS4では海外作品の方が多いくらいです。
それだけにローカライズには力を注がなければいけない状況なのですが・・・酷いのもありますから。

そんな悲惨な現状ですが任天堂はしっかりとした「カルチャライズ」を行なっていますね。
「ルイージマンション2」みたいに海外の開発会社が製作したタイトルも多いですけど、国内ユーザーはそんな事を気にせずに楽しんでいますから。
(任天堂キャラが全世界で受け入れられているというのもありますが)
それに「レゴシティアンダーカバー」のローカライズも実に丁寧でした。
この方面でも任天堂がお手本を国内サードに提示しているのかもしれません。

それにしても海外メーカーも超大作化の影響でFPS&TPSが主流になって何時の間にかクラッシュやラチェクラの様な一般ユーザー向けアクションゲームを作らなくなってしまいました。
・・・本当に寂しいですね。
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[ 2014/05/21 14:00 ] PS系 | TB(0) | CM(20)

レゴシティは久しぶりにゲームして大笑いできた超おすすめの逸品
こう言うゲームをゲームからしばらく離れているおっさんにやって欲しい
[ 2014/05/21 14:12 ] JalddpaA[ 編集 ]

SCEJがローカライズしたGOD OF WARⅢの翻訳とか酷かった覚えがあるなー
まぁ、ソニー信者の皆さんは前作担当した大嫌いなカプコンと比較して持ち上げまくってたけどね
[ 2014/05/21 14:48 ] -[ 編集 ]

ルイマン2、日本で112万本、世界累計398万本かー(IR資料)
いいゲームは息が長く売れるなあ
[ 2014/05/21 14:49 ] -[ 編集 ]

レゴはマジで面白かったわ。
予想以上にストーリーが楽しかった…自由度も高いし。
あと、名前はアンダーカバーだったはず。
[ 2014/05/21 15:07 ] -[ 編集 ]

この人Beepの芋吉さんなのかー
今パチンコ業界にいるんだね・・結局PSに勢いがあった頃の面子って居眠り大将くらいしかいないのかな?

Beepのライターっていえばあのメンドクサイ人もまだ業界にいるんだっけ?
リンク先にある自分達向けのゲームをいまだにつくってるのかな?
[ 2014/05/21 15:09 ] -[ 編集 ]

MS販売のゲームはほぼ吹き替え&同発
リーチやアランの限定版の書籍までローカライズしてある
こんな状態の国内でもね
[ 2014/05/21 15:18 ] -[ 編集 ]

ローカライズが丁寧なゲームって凄く印象に残るんだけどな…
[ 2014/05/21 16:07 ] -[ 編集 ]

PS2のローカライズだと、
セガがローカライズしたデストロイオールヒューマンズ!が徹底的にバカ&マニアックに走って楽しかった。
♪これは 花の汁を吸う 油虫~♪
なんて今の子には解んねえよ!
[ 2014/05/21 16:40 ] -[ 編集 ]

久夛良木氏といい、吉田氏もだけど…SCEってホントにクセの強い人間が多いんだなぁ。
それだけに鶴見六百氏のような芯のある縁の下の力持ちがいると相乗効果で上手く回るんだろうけど
ダメな時はとことんダメなのかもね。大当たりか大ハズレ。

…ってあれ?ソニー(家電部門)のOBが言ってたのと一致するかも?
[ 2014/05/21 17:00 ] -[ 編集 ]

ひょっとしてアンダーカバー?
あれはうまくできてたよな
[ 2014/05/21 18:47 ] -[ 編集 ]

[ 2014/05/21 15:18 ]

仕事しろと蹴られるAA貼られるのが定番なMSKKだがそのへんの仕事はしっかりとやるんだよな。

MSKKに足りないのはハード売り込む宣伝だと思うがPSWに汚染されまくっててメディア関連が腐りきってる今の状態じゃやっても無駄なだけかもなぁ。
バカ企業が自滅して消える日も近そうだからその後売り込む手もあるか・・・。
[ 2014/05/21 18:50 ] -[ 編集 ]

ラチェクラは本編に隠し要素として「インソムニアックワールド」なる物があったから
ローカライズなんだなぁとは知って居たが、クラバンは普通に国内ソフトだと思ってたな。

海外のソフトとはいえ、良質なローカライズだと全然違和感は無いし、
キャラクターの吹き替えとか、字幕とか色々な問題があるのは分かるが大概は上手く表現出来ている。
でも結局はローカライズを担当する優秀な人材の腕次第なんだよな……

個人的には、海外で出ているWiiUのインディーズ作品を日本向けにローカライズして欲しい。
DLソフトの需要は高まって来て居るようだし、遊べるソフトの数も増えればそれに越した事は無い。
どうにか任天堂には頑張って欲しい。
[ 2014/05/21 19:13 ] -[ 編集 ]

五年前の記事かよ!意外ななところから引っ張ってきたな。
これを読むと、PS1の頃のSCEには凄い人が集まってたんだなって実感するな。熱が違うぜ。
お金がなくなってからローカライズに力を入れるのはやめたようだけど、アンチャーテッドやThe Last of Usのローカライズは丁寧だと感じたな。他は知らん。
[ 2014/05/21 19:33 ] -[ 編集 ]

レゴは去年ここの記事見てWiiUと一緒に買った

凄い楽しかった
そして署長を見るとドーナツが食べたくなる(コナミ)
買って損はなかったいいソフトだ
[ 2014/05/21 19:47 ] -[ 編集 ]

>「ローカライズとは、ネガティブ要素は減らすだけで良いのか?」
んな事より他社ならびに日本全体へのネガティブキャンペーン行為を減らせようんこ野郎
[ 2014/05/21 22:16 ] -[ 編集 ]

今年の年始にゼノ新作全裸待機の為にWiiU買ったクチだけど、そんとき一緒に買ったのがレゴだったわ。
ゲムパも上手く使ってたし、何よりあの頭のネジがゆるーいキャラと台詞がやってるうちにツボにはまるようになってくるw何ていうか「子供にも安心して遊ばせられるGTA」って感じだな。

てか言われてみればPS1の当時ラチェクラやクラッシュが洋ゲーだなんて意識したことなかったな。ローカライズじゃなくカルチャライズか~。そこまで丁寧に手入れてあったんだな。
[ 2014/05/21 22:16 ] -[ 編集 ]

ほんと、こうしてみると今のSCEを憎み討幕を望んでる多くの人は元PSユーザーだったのだなあ、と
そしてSCEを擁護する虫どもはゲームファンですらないんだなあ、と
[ 2014/05/21 22:40 ] -[ 編集 ]

ファンの皆さん、昨日は間違った画像を載せてしまいました。ごめんなさい。
PS4のドライブクラブ(1080p@30fps)は他とは違う、比類なきレベルのディテールを持つグラであると保証します。

↑これがforza5の画像使った謝罪文
ほんと糞企業すぎはよゲーム業界から消えろよ

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10152416471470050
[ 2014/05/22 06:47 ] -[ 編集 ]

PS2までは買ってたんだけどなー
ラチェクラもクラッシュも面白かったのに
[ 2014/05/22 07:23 ] -[ 編集 ]

今回のインファマスSSの吹き替えは結構良かったで
[ 2014/05/23 02:35 ] -[ 編集 ]

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